全国連絡会ニュース No.153

みなさま、お元気でいらっしゃいますか。

爽やかな風に乗って近くの高校のグラウンドのざわめきが聞こえてきます。こうして澄み切った空の下でゆっくり秋を感じていると、遠い国での争いが、私の時間と同じ時間だとは、どうしても思えません。

子どもが学校へ行けなくなった時、初めてテレビや新聞で知っていただけの「登校拒否」が現実にあるのだと思いました。学校へ行けなくなったわが子を目前にするまでは実感がなく、とても身近なのに、何故そのように感じていたのだろうと、今は不思議です。想像することは、考えて考えてやっと触れるものになる、鏡の中の自分を見つめ、学び続けなければ、それまでは他人事だったのです。

7月にリモートで開催された全国世話人会のミニ講演「コロナ禍がわたしたちに問うもの」(山田哲也さん)は、私たちの未来を見据えて「親の会」に力を与えて下さいました(p1~9)。加速する社会の中で自分が自分であることの意味を探りながら、いかに生きのびていくのか。コロナ禍で止まった時間を「問い」、波紋のような「共鳴」を手立てにして「親の会」は希望を養っています。

また、高知での「教育のつどい」へは、全国連絡会から当事者と親の立場のそれぞれ2本のレポートがありました(p17~20)。この25分科会で、親は教師と共に学び、ずいぶん鍛えられました。どう再編されるのか予測がつきませんが、最後の2本のレポートが「登校拒否を克服する会」(大阪)からであったのは、25分科会の歴史を考えると、きびしい交流の中であっても嬉しいことでした。

いよいよ「全国のつどい」も動きだしました(p22)。「つどい」の長い間の不在は、何をもたらしているのでしょうか。出来ることはわずかです。けれど静かに変容していくものをすくうために、その手を水の中に入れると、水は波紋を描きながら手の形をつくります。不安ですが、手の先に自ずと視えてくるものが、このようなかたちになることを見守りたいと思います。

この№153号「全国連絡会ニュース」がひとりでも多くの人のお手元に届きますように、「親」からの大切な寄稿と共に、心をこめて。

 

(2022.10.13発行)

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